【痛すぎ】出産レポ②娘に会えるまで

出産レポ、前回の続きです。①を読んでいない方はこちらからどうぞ!

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2月3日

出産予定日超過1日目。40w1d

21:30頃に山梨の家を出発して、東京豊島区の助産院に到着したのは23時過ぎ。いつもの診察室の明かりが落ちていて、床には一面断熱のアルミシートが敷き詰められている。薄暗くて暖かい、不思議と落ち着く空間を間の前にして、これからここでお産をするんだ・・と急に実感が湧いてきた。夜も遅いので、このまま母も隣の部屋(出産後に私が入院する部屋)に泊まって待っていてくれることに。愛犬のななが1人山梨の家で留守番になってしまったことが気がかり。そういえば、今日はずっと朝からクンクンと鼻を鳴らしていた。動物のななには、お産が近いことがわかっていたのかも知れない。

夜勤の助産師さんと院長先生がいて、内診してもらう。子宮口はすでに5cm開いていた。そして先生に言われて、そこで初めて破水していることに気がつく。実は1月30日にななと散歩して以来、水っぽいものが出るようになったので破水だと思ってタクシーで診せに行ったが検査をしてみると破水ではなかった。破水の場合は感染予防のため即入院だが、前回と変わらない様子だったので今回も破水ではないと思っていた。でも今思えば、山梨に着いた日の夜、大人用のおむつを履かないとどうにもならないくらいの量の水が流れ出るようになっていたので、あれこそが破水だったのだと思う。

規定上、破水してから24時間以内に陣痛が来ない場合は助産院での出産はできない(その場合は嘱託医での出産になる)ので、先生に「いつ破水したかわかる?」と聞かれたが当時は全く思い当たらなかったので、「じゃあ今、内診した時に破水したことにしよう。」ということになった。

そこからはとにかく痛みが強くなってきて、心音モニターをつけるために横になるが、横になる体勢がとてもつらい。あぐらをかいて、壁によりかかって座っているのがやっとだった。

血糖値を下げないために、塩黒糖を食べて水を飲む。水は何とか喉を通るが、食欲が全くないので黒糖を噛んで飲み込むことができない。気持ち悪い。その後、今日食べたものを全部戻してしまう。あーあおうどんもったいない・・と思えるくらいにはまだ余裕があった。先生曰く、食べたものを戻すのはお産が進んでいる証拠らしいのでそれを聞いて少し安心した。

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2月4日:出産予定日超過2日目。40w2d

夜中の0時を回った頃から、お産の進みが少し悪くなってきた。痛みはあるが、眠くなってきたこともあってかそれ以上の変化がない。先生の勧めで、20分くらい母にドライブに連れていってもらうことに。車に揺られる振動でお産が進むらしい。痛いけど早く進むよ、今のまま待ってもいいけど、どっちがいい?ということで、痛いのは嫌だけど長くなるよりはいいと思いドライブを選択。いきみたくなる感覚があったら帰っておいでと言われて出かけた後、10分を過ぎた頃にいきみたい感覚になってきたので帰る。

生理痛のような痛みがだんだんと腰全体に響いてくる。いきみたくなる感じも徐々に出てくる。初めてのお産なので、正直これがいきみたい感覚なのか便意なのか分からない。夜が更けてきてウトウトするが、定期的に痛みが来るので全然休まらない。少し寝たかなと思って時計を見ると5分しか経っていないということがしばらく続いた。痛みの波が来るたびに深い呼吸をして痛みを逃すのだが、全然うまくいかない。「早く会いたいね〜、一緒に頑張ろうね〜」とお腹をさすりながら娘に話しかける。

同じような痛みは続くがそれ以上にならない状態のまま夜中の2時になる。思わず少し弱音を吐いた。「こんなにつらいと思わなかった・・いつ終わるの・・」本心だった。何の迷いもなく産む選択をしたことを後悔しかけていた。すると先生に、「でもまだ話せてるじゃない。産むって決めたんだから頑張りなさい!」と喝を入れられる(笑)そうだよな・・と素直に納得するとともに、逆に話せないくらい痛くなれば生まれるってことか!とちょっと勇気が湧く。

この状況を打破するために、助産師さんと階段の上り下り運動をすることにした。とにかく赤ちゃんが降りてくるイメージで、一歩一歩かかとから歩く。階段の途中でも痛みの波がくるのでその度に何度も立ち止まり、深呼吸をしながらいきみたくなるのを逃すが、これが本当にきつい。助産師さんが一緒に呼吸をしながら肩を支えてくれる。

なんとか10往復した。階段の途中では、もう死んだほうがましだと思うくらい痛かった。私が子供を産むと言う選択は間違っていたのか?甘かったか?と自問自答。どちらにせよもう2度と妊娠しない!!と思った(極論すぎるw)

それでもやっぱり早く娘に会いたい!と気合を入れ直して、さらに一歩一歩に魂を込めて上り下りする。歩ける時はなるべく沢山の段数を一気に進んだ。陣痛の波が来るたび、あまりに痛くて、私の情けない声が真っ暗な廊下中に響く。近くの部屋に母もいるのに本当に情けないと思ったが、もう気にしていられないのでとにかく前に進む。

階段から戻ってくるとウンチしたくなるような感覚があったので内診してもらったところ、子宮口の開きは8cmくらいになっていた。お尻の穴の方を意識しながら少しずついきんでもいいことになったが、なかなかうまくできない。いきみ用の椅子にも座ってみたが、なかなか上手くいかず赤ちゃんが降りてきている感じもない。そうこうしているうちに朝になる。

夜勤の助産師さんは交代の時間。昨夜は私のために急きょ来てくれたようで、このまま寝ずに日勤のお仕事に行くらしい。お礼を伝えて、夜勤の助産師さんとお別れ。いつも診察してくれていた、私が一番信頼している助産師さんはもう少し経ってからしか来ないらしい。次に来てくれた助産師さんは初めて会う人で、深夜からの長丁場で院長先生も仮眠を取っていてこの場にいないので不安になる。

明るくなって土曜日になった。土曜日も助産院には診察の予定があるが、診察室を私が使ってしまっているので、助産師さんたちが他のママさんたちの診察スケジュールをリスケしているのを横で聞いていて申し訳なく思った。助産師さんたちも朝の業務があり忙しそうにしていて、たまに部屋に1人にされると猛烈に不安になる。待って、行かないで〜!いきみ逃しが1人だとめちゃくちゃ下手くそ。というかしれっとめっちゃいきんでる。娘よ、すまん・・

1人で陣痛に耐えていると、隣の部屋に泊まっていた母が、ななが心配だから一旦山梨に帰るねと伝えにきた。タイミング悪くちょうど痛みの波が来ていて、母といたら甘えてしまって自分が弱くなるのがわかっていたので「まだいきんじゃいけないんだって。わかったよ、もうバイバイ!」と遠ざけてしまった(笑)

でも結局その後助産師さんに「今から山梨に帰っても土曜日の朝だから渋滞に巻き込まれて、生まれる時に間に合うかはわからないかも知れません・・」と言われたので帰らないことにして、ずっと隣の部屋にいてくれたらしい。

朝8:30になって、私が一番信頼している助産師さんが出勤してきた。すごく安心したが、ちょうど痛い波が来ていて、いきなり情けないところを見せてしまった。背中を撫でてくれながら「はい、こきゅう〜♪」と言ってくれる。歌うように話す人で、トーン高めの優しい声がとても落ち着く。

横になっているのがとてもしんどい。個人的にいきみ逃しが一番上手くいかない体勢だった。またお産が進まなくなってきたので2回目の階段修行に行く。昨日よりも上手く進めない。痛すぎて雄叫びのような声が出る。激しく情けないが、そんなこと気にしてる余裕ももう無い。

「食べたほうがお産が進むから、痛いけどね」と、小さなおにぎりを握ってきてくれたが死ぬほど食欲がない。これまでの人生でかつてこんなに食欲がなかったことはない。無理やり口に押し込むが、噛む気力もない。しばらく口の中で転がしていたがなんとか飲み込んだ。一晩中絶やさず口に入れていた塩黒糖も、もう一度無理やり半分だけ口に入れる。(ちなみにお産が終わって30分くらいしてから残してあったおにぎりと塩黒糖食べたらめちゃくちゃ美味しかったwww)

2回目の階段運動が終わった後に内診してもらったところ子宮口はもう9cm開いていた。

もう少しだからあと30分だけ頑張ろう!ということでおにぎりと塩黒糖を再度口に押し込んで、あと少し頑張る。もはや階段にはたどり着けそうにないので、そのまま部屋の中をかかとからどしどし歩き回る。

痛くて痛くて、断末魔のような声が出る。「痛いーーーー!うーーー!」とずっと叫んでいた。我ながらかなりデカい声。もうまともには喋れない。動物に戻ったような感覚だった。

数分おきに雄叫びをあげないと耐えられない波がくる。自分からこんなに大きな声が出ると思わなかった。そのくらい痛い。ということはもうすぐこの痛みが終わって娘に会えるということ!最後の力を振り絞ってどしどし歩く。

時計で30分が過ぎたので再度内診してもらい、10:45ついに子宮口全開に。内線で院長先生を呼んで、いよいよ分娩が始まった。

床に仰向けに寝っ転がっていきむオーソドックス?な体勢で出産を試みる。さっきの椅子に座ることもできるし、横向いても良いよと言ってくれたけど、横向きはつらいのでやめた。

アクティブバースができるこの助産院を選んだのは、流産手術のときの体勢が不自然で嫌だったからだけど、気が付くと結局は同じ体勢になっていた。でもここは暗くてあったかくて、信用できる先生と助産師さんだけだから気にならない。というか痛くて気にしていられる状況でもない。

陣痛が来たら痛みの波に合わせていきむらしい。自分で両脚を掴んで自分側に引っ張りながらいきむ。いきみ逃しは全然うまくいなかったが、いきみは上手だったらしく、先生も助産師さんも褒めてくれた。すぐそこにいるみたいだけど意外と出てこない。

助産師さんが『ふー、んっ!ふー、んっ!』ってやってみて!と教えてくれた。ふーで息を吐き、んっ!のところで息を止めてお腹に渾身の力を込める。人間意外と息が続くもんだ。無呼吸で顔を真っ赤にしていきむ。

少しずつ降りて来てる感覚がある。もうすぐだよ、と言ってくれたが、そんなにすぐは出てこないようだ。骨盤がグーっと広げられている感覚、何かが挟まってる感覚がある。「ベビーが頭の骨をグッと重ね合わせて、なるべく小さくなって出て来てくれてるよ!」と言われ、我が子の健気さにキュンとする。

さらにいきむこと1時間弱。股に何かが挟まってる感覚がすごい。もっとつるんと出てくるものだと思っていたが、破水してることもあってかそうでもない。挟まって苦しいだろうに、モニターから聞こえる娘の心拍は力強く、少しも落ちていない。先生が、本当に強い子だねと褒めてくれた。

もうすぐそこに頭があるよ!と教えてくれ、陣痛に合わせて『ふー、んっ!ふー、んっ!』のリズムでひたすらいきみ続ける。何かが挟まっている感じが強くなり、痛みも疲れもピークだった。「今どんな感じですか?」と聞くと、「さわってごらん」とお股に手を持っていかれた。

フサっとするものが手に触れた。髪の毛だとすぐにわかった。「髪の毛生えてる…可愛い…」愛おしくて思わず涙が出た。

先生が色んな器具を使って、私のお股が破れないようにしながら娘が生まれるのを手助けしてくれているのがわかった。後で知ったことだが、助産院では会陰切開を《しない》のではなく《できない》らしい。切られないのはいいが、逆に破けていたらと思うと冷や汗が出る・・(笑)

そして・・「頭出るよ〜、あーすごい大きいな」先生が笑っている。頭が出た後も身体が全部出るまで頑張っていきむ。最後は脚を掴まなくて良くなったので痛みにあわせて長くいきむ。

2023年2月4日11時53分、娘が生まれた。

ふぇ〜と泣いている。嬉しくて、涙声で「おかあさーん」と隣の部屋で待機してくれていた母を呼んだ。ずっと会いたかったよ〜と話しかけた。手も足もちゃんとある。お顔もしっかりしている。やっと安心できた。

生まれたばかりの娘がお腹に乗っている。へその緒が細めで短いらしく、お腹の真ん中まで届かず、少し下の方にいるので、足でお股を蹴られて痛い。

喜びも束の間、胎盤を出すのが結構痛かった。先生が手を突っ込んで直接引っ張り出してくれる。「あ、痛いですう〜・・」また情けない声が出た。ちゃんと取り除いておかないと後で大量出血が起きて大変なことになるらしいので最後の痛みだと思って我慢した。

しばらくしてから、へその緒を麻ひもでしばって切ってもらった。体重を測ると3,816gもあった。そりゃ母親が16kgも増やせばそれだけ大きくなるだろう。こんなに大きい子を会陰切開なしで産むことができて奇跡だと思った。落ち着いてから胎盤とへその緒も見せてもらったが、どぅるんとしてすごい色だった。

事前の母親学級で、「母乳のために甘いものと揚げ物はNGだが、出産してから母乳が出るようになるまでの24時間以内なら何を食べてもいい」と言われていたので母にお願いして、お寿司とハーゲンダッツ買ってきてもらい、入院する部屋で娘を見守りながら2人で食べた。妊娠がわかってから生ものは避けていたし、アイスを食べるのも20週以来だったのでとても嬉しかった・・。

食事をして落ち着いてから、ななも心配だからと母が車で帰っていった。携帯も山梨の家に忘れていたので不安だったと思う(笑)夕方、無事に帰ったと連絡があった。ななはすごくいい子に留守番してくれていたらしい。やっぱり全部わかっていたんだなと感心した。

出産後、4日間入院した。助産院なので母子同室でずっと一緒にいられることが嬉しかった。オムツの替え方も母乳のあげ方も全部一から教えてもらい、昼夜関係ない24時間体制の母親業がいよいよ始まった!無傷で出産を終えられたので座ってもどこも痛くなく、経過も順調だった。健康的な食事もどれも美味しく、とても幸せな入院生活だった・・。

できるだけ自然に近い形で出産したいという思いから助産院での出産を選び、この助産院で出産して本当によかった。本当に痛かったので人生に一度で十分だと思ったが、この痛みを経験して乗り越えられた今の自分なら、この先ある程度の痛みには耐えられると思う。

出産レポは以上です。山梨での新しい生活については今後書いていきます!

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